梁维嘉 《勇往直前》について

こんにちは!RYO孔明です。

前回に引き続き、中国のヒップホップについて、お話したいと思います。

 

今回は、梁维嘉(リアンウェイジア)の《勇往直前》という曲です。

梁维嘉というラッパーは《中国新说唱》という日本でいうフリースタイルダンジョン的な番組に出て、人気になったラッパーです。

どのくらい人気があるかはよくわかりません。

 

それではいきましょう!

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[原文]

你努力的 你拼命的找 为了不到的那个东西一直到老去了这儿 那儿 见了人 事儿总是纳闷儿 为什么还是不忿儿这个世界 你的世界也许永远不是你想要的世界你忘了还欠谁一句谢谢你早就习惯了没人理解

 

[訳]

お前は一生懸命に走って、必死で探している。見つからないあれを探して気付けば、歳を取っていた。どこに行って、誰に会っても、腑に落ちないことばかり。何でまだ不満なんだ。この世界はお前の欲した世界じゃないだろ?誰かに言うべき「ありがとう」を忘れてないか?もう慣れただろ?誰もお前のことを理解してくれないことに。

 

[原文]

你不敢停下甚至是每个深直到你了解 自己并不特你从没想过会被他们崇拜 你终于想要迎合这个时想要 被他们 为了 这个游戏更多的 帮你冲上把他们踩在脚下拿回你的尊

 

[訳]

お前には立ち止まる勇気がないんだ。まるで毎晩自分が特別じゃないと納得行くまで眠れない。あいつらに尊敬されるなんて考えたこともない。やっと時代に合わせたくなって、名声が欲しくなった。あいつらに覚えられ、名誉も金も得て、あいつらを踏みにじって、プライドを取り戻したんだ。

 

[解説]

途中”名气“”铭记“”名利“の3つの単語の間にそれぞれ1拍置いてる感じがおしゃれで良いですね。またその3つで終わらずに次の”赢”まで韻を繋げているあたりのセンスが素晴らしいと思います。

 

[原文]

你跑的更快的更怪不敢懈也忘了怎么去当你终于站在了城市之巅钢铁丛林之间 没人在你身边

 

[訳]

より早く走り、気が狂うほど考えて、怠けることもなく、どう人を愛するかさえ忘れてしまった。お前は今誰もいないコンクリートジャングルのてっぺんにいる。

 

[解説]

同じバースを2回繰り返していますが、"你跑的更快 想的更怪"のところのリズムをが違います。钢铁丛林は本当は、鋼のジャングルと訳すべきですが、コンクリートジャングルの方がヒップホップっぽい感じがしたので、そう訳してしまいました。。

 

[原文]
你感到孤独 无助自己喝醉 憋着不吐开始嫉开始埋怨为什么看不清楚每次我照镜子都看见你 你还是你 只是想找自己当你重新上路 再次义无反顾这次为你自己 一条新的

 

[訳]

孤独を感じても、誰も助けてくれない。酒を飲んでも吐くことさえできない、嫉妬し、怒り、文句を言う。何でわからないんだ。鏡に映っているのはいつもお前だ。新しく歩むべき道を探しているだけなんだ。もう後には引けないから、自分で新しい道を探すしかないんだ。

 

[原文]
有的时候 你需要一个寄托也许一个篮球 或者一部机车 生活像场考试 都在努力 及格最简单的儿歌 你是否还记得这世界 还是老样子你改变不了 那就算了吧他们都看着呢 等着你失都排着队 找你要人情艰难的撕打着在每个夜像脱去盔甲的托尼斯塔克也会失落 掉眼泪看着天花板却不想睡

 

[訳]

たまには何かに頼るべきだろ。それはバスケットボールかもしれないし、車かもしれない。生活は一番簡単に合格できる童謡のテストのようなものだ。でもみんな努力しているんだ。この世界がまだ変わっていないってわかってるか?お前は変えられないんだ。諦めろ。あいつらはお前が失敗するのを並んで見ているんだ。お前に借りを作ろうと殴りながら、毎晩鎧を外したトニー・スタークのように自信をなくし、涙を流し、天井を見ながら、眠れないでいるんだ。

 

[解説]
トニー・スタークはアイアン・マンの登場人物です。

日本語訳の赤字の部分、中国語の"找你要人情债艰难的撕打着"の部分の意味がよくわかりません。どなたか教えていただけると助かります。

 

[原文]

这世界不是你想要的你再次带上耳机被节奏围绕着你抬起头看着天空冲出这个世界 去太空当他们都看不清你的模样他们自顾自帮你规划了方向当你回到家一个人打开灯重新拿起在角落的麦克风

 

[訳]

この世界はお前の欲した世界じゃないだろ?お前はイヤホンをつけて、リズムに包まれる。お前は顔を上げ、空を見上げ、この世界から飛び出す。宇宙に飛び出し、あいつらからお前の姿はよく見えない。お前は方向を定め家に帰る。部屋の明かりをつけ、隅に落ちていたマイクを握る。

 

[原文]
你记得每一次 想和全世界分享记得每一次 没人在听你讲记得那一次 雨大的像瀑但你哪一次也没停住脚

 

[訳]

お前は覚えている。世界と分かち合いたいと思う度に、誰もお前の話を聞いてくれないあの時を。滝のような雨が降ろうと足を止めなかったあの時を。

 

[全体解説]

この曲は一聴して好きになりましたね。内省的な内容も含めて、やはり生き様を歌うことがヒップホップなのだと感じました。主語がずっと你(お前)というのも新鮮でいいなと思いました。あとは、普通にめちゃくちゃラップが上手ですね。特にフローは中国語特有のリズム感と相まって、非常に素晴らしいです。中国人の間でも北京語とラップは合わないと思っている人も一定数いるみたいですが、個人的には、四川や広東などとは違った空気感があり、むしろ北京の方が好きかもしれないです。

 

また時間ある時、書きます!よろしくお願いします!

 

RYO孔明